深い睡眠だけじゃダメだった?83の疾患リスクを激減させる“夢見る睡眠”の正体

🏥 海外医療最新情報⏱ 約10分2026年9月26日·Health Frontier JP 編集部

📌 この記事でわかること

1レム睡眠が長い人は心不全など83の疾患リスクが低いことが判明。
2従来重視されてきた「深い睡眠」だけでは不十分な可能性が示唆された。
3レム睡眠は記憶の整理や感情の安定に不可欠な「脳のメンテナンス時間」。
4寝酒や寝る前のスマホなど、日本人に多い習慣がレム睡眠を妨げている。

「睡眠の質を高めるには、とにかく“深い睡眠”が重要だ」
あなたも、そう信じていませんか?

これまで多くのメディアで、脳と体を休ませる「ノンレム睡眠(深い睡眠)」こそが健康の鍵だと語られてきました。しかし、95,000人以上を対象とした最新の大規模調査によって、その常識が大きく覆される可能性が出てきたのです。

研究が明らかにしたのは、私たちが軽視しがちだった“もう一つの睡眠”の驚くべき力でした。それは、夢を見ている間の睡眠、「レム睡眠」。このレム睡眠の時間こそが、私たちの未来の健康を大きく左右するかもしれないのです。

睡眠の新常識:「深い睡眠」神話の終わり

私たちの睡眠は、主に「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」という2つのサイクルで構成されています。これまでの常識では、特に寝入りばなに現れる「ノンレム睡眠」が、成長ホルモンを分泌し、体の疲れを取るために最も重要だと考えられてきました。

もちろん、深い睡眠が重要であることは間違いありません。今回の研究でも、深い睡眠の時間が長い人は、2型糖尿病やうつ病などのリスクが低いことが確認されています。しかし、研究者たちが驚いたのは、レム睡眠がもたらす、それを遥かに凌駕するほどの健康効果でした。

調査の結果、レム睡眠の時間が長い人は、心不全、高血圧、認知症、パーキンソン病といった、実に83種類もの多様な疾患を発症するリスクが有意に低いことが判明したのです。これは、「睡眠の質=深い睡眠」という単純な図式では説明がつかない、衝撃的な事実と言えるでしょう。質の高い睡眠とは、深いノンレム睡眠と、十分なレム睡眠の“黄金バランス”によって成り立っていたのです。

person sleeping peacefully in dark room

なぜ「夢見る睡眠」が病気を遠ざけるのか?

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では、なぜ夢を見る「レム睡眠」が、これほど多くの病気から私たちを守ってくれるのでしょうか。その鍵は、レム睡眠が担う「脳のメンテナンス」という重要な役割にあります。

レム睡眠中、私たちの体は休息状態にありますが、脳は活発に活動しています。この時間、脳はまるで優秀な整理整頓のプロのように、日中に得た膨大な情報を処理しています。重要な記憶を長期保管庫に移し、不要な情報を削除する。さらに、日中に感じた不安や恐怖といったネガティブな感情を整理し、心の安定を取り戻す作業も行っています。

つまり、レム睡眠は単なる休息ではなく、脳の健康寿命を左右する積極的な活動時間なのです。このメンテナンスが不足すれば、記憶力は低下し、感情は不安定になり、脳には老廃物が蓄積していきます。これが長期にわたることで、認知症や精神疾患、さらには全身の健康を蝕む様々な病気のリスクを高めてしまうのではないか、と科学者たちは考えているのです。

関連疾患数

83

レム睡眠の延長でリスク低下が示唆された疾患

あなたのレム睡眠を奪う、日本特有の「悪習慣」

これほど重要なレム睡眠ですが、実は非常にデリケートで、些細な生活習慣によって簡単に妨げられてしまいます。特に、現代の日本人が陥りがちな「悪習慣」は、知らず知らずのうちに貴重なレム睡眠を削り取っている可能性があります。

筆頭に挙げられるのが「寝酒」です。寝つきを良くするために、と就寝前にお酒を飲む習慣がある人も多いでしょう。確かに入眠はスムーズになるかもしれませんが、アルコールが体内で分解される過程で発生するアセトアルデヒドには強い覚醒作用があります。これにより、睡眠の後半部分が浅くなり、最も重要なレム睡眠が大幅に減少してしまうことがわかっています。

また、「寝る前のスマートフォン」も深刻な問題です。画面から発せられるブルーライトは、睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌を強力に抑制し、脳を覚醒させてしまいます。これにより、睡眠サイクル全体が乱れ、特にレム睡眠が出現しにくくなるのです。OECDの調査でも日本の平均睡眠時間は先進国の中で最下位レベルであり、ただでさえ短い睡眠時間が、こうした悪習慣によってさらに質を落としている現状は、看過できません。

person using smartphone in dark bed

🗾 日本の文脈での考察

今回の研究は海外で行われたものですが、日本の状況にこそ大きな警鐘を鳴らしていると考えられます。日本は世界的に見ても睡眠時間が短く、かつストレスレベルが高い社会です。長時間労働や夜型の生活スタイルは、自律神経のバランスを崩しやすく、これがレム睡眠の質を直接的に低下させる要因となり得ます。

厚生労働省が策定した「健康づくりのための睡眠指針2014」でも、適切な睡眠時間と生活リズムの重要性が説かれていますが、レム睡眠とノンレム睡眠のバランスという「質」の側面にまで踏み込んだ啓蒙はまだ十分とは言えません。

一方で、魚介類に豊富なDHAやEPA、味噌や納豆などの発酵食品が睡眠の質を改善する可能性を示唆する研究も存在します。日本古来の食文化には、レム睡眠を守るヒントが隠されているかもしれません。海外の研究結果を鵜呑みにするのではなく、日本の生活習慣の負の側面を改善し、良い面を伸ばしていく視点が、私たち日本人には特に求められていると言えるでしょう。

日本人が今日からできること

では、病気を遠ざける「レム睡眠」を確保するために、私たちは今日から何を始めればよいのでしょうか。特別な器具やサプリメントに頼る前に、まずは生活習慣を見直すことから始めましょう。

1. 就寝90分前の「魔法の入浴」
寝る前に体温を一度上げ、それが下がるタイミングで眠気が訪れるという体の仕組みを利用します。38〜40℃のぬるめのお湯に15分ほど浸かることで、心身ともにリラックスし、質の高い睡眠へのスムーズな移行をサポートします。

2. 寝室を「睡眠の聖域」にする
寝室は眠るためだけの場所と割り切り、スマートフォンやテレビを持ち込まないようにしましょう。遮光カーテンを使って光を完全にシャットアウトし、温度や湿度を快適に保つことも重要です。外部の音が気になる場合は、耳栓やホワイトノイズマシンを活用するのも一つの手です。

3. 「寝酒」を「癒やしのドリンク」に置き換える
就寝前のお酒が習慣になっているなら、それをノンカフェインのハーブティー(カモミールなど)やホットミルク、白湯に置き換えてみましょう。体を温め、リラックス効果を高めることで、アルコールに頼らない自然な眠りを手に入れることができます。

しかし、ここで非常に重要な事実があります。同じ入浴法やハーブティーを試しても、その効果には大きな個人差が存在します。ストレスレベル、日中の活動量、遺伝的な体質によって、最適なリラックス法は千差万別なのです。多くの人が実践する「万能な健康法」が、あなたにとってのベストアンサーとは限りません。

📝 この記事のまとめ

だからこそ、闇雲に情報を試す前に、まずは自分自身の睡眠が今どのような状態にあるのかを「可視化」することが、最も賢明な第一歩となります。レム睡眠が足りているのか、深い睡眠はどうか。自分の睡眠パターンを客観的に知ることで、初めて自分に合った、本当に効果のある対策が見えてくるのです。

✏️ 編集部より

正直に言うと、私自身もこの記事を書く前まで「8時間寝れば大丈夫」と時間ばかり気にしていました。日中のパフォーマンスが上がらないのも、単なる寝不足や歳のせいだと思い込んでいたのです。しかし今回、レム睡眠が感情の安定や83もの疾患リスクにまで関わるという研究結果に触れ、自分の不調の原因は「睡眠の質」、特に“夢見る睡眠”の不足にあったのかもしれないと、ハッとさせられました。まずは自分の睡眠サイクルをウェアラブルデバイスなどで正確に把握することから始めたいと思っています。同じように「しっかり寝ているはずなのにスッキリしない」と感じている方にこそ、ご自身の“睡眠の内訳”に目を向けるきっかけにしてほしいと心から願っています。
(気になる症状がある場合は、専門の医療機関にご相談ください。)

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📋 参考・出典

📄 出典:More REM sleep linked to lower risk of 83 diseases

⚠️ ※本記事は海外の最新研究報告を紹介するものであり、医学的な診断や治療を推奨するものではありません。健康に関する不安は、必ず専門の医療機関にご相談ください。

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